もつれない患者との会話術
ポイント
医療機関の都合で,患者の了解を得ずに患者が不快と感じることをすれば,当然,大きなトラブルに発展します。このケースでは,一方的に医療機関側が悪いと言えます。
信頼関係の上からも,法的なトラブルを回避する意味でも,努めて患者の了解を得る姿勢が必要です。
解説
患者の転ベッドは日常茶飯事と言えます。患者の希望の場合もあれば,医療機関側の都合で行うこともあります。
しかし,患者が使用しているベッドには「占有権」(民法第180条)という権利があります。
したがって,患者の同意を得ていない転ベッドについては,患者が異議を申し立てた場合,医療機関側は元に戻さなければなりません。場合によっては転ベッドにより生じた損害について賠償請求される可能性もありますので,同意のない転ベッドは行うべきではありません。
医療機関の対応
ベッドの「所有権」はもともと医療機関にありますが,患者が使用することで「占有権」が発生します。「占有」とは他人の物を事実上支配することを言い,「占有権」とはその権利が生じるということです。医療機関の都合でどうしても転ベッドせざるをえない場合には,患者に協力していただきたい事情をきちんと説明する必要があります。
関係法令など
占有権は,自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。