臨床成績〔APOLITOS試験 コアパート 試験概要〕
国際共同第II相試験(APOLITOS試験 コアパート)
本剤は、日本人患者を含む国際共同第II相試験の結果から、海外第III相検証試験の結果を基に承認されたため、日本人患者を対象とした第III相試験は実施されておりません。
社内資料:国際共同第II相試験(G1301試験) [承認時評価資料]
目的
日本人を含む再発を伴う多発性硬化症患者を対象に、投与24週後までの1スキャンあたりのGd造影T1病変の累積数を指標としてケシンプタの抑制効果を検討するとともに、安全性を検討する。なお、副次目的として、1スキャンあたりのGd造影T1病変の累積数に対するケシンプタの抑制効果について、地域間〔日本および海外(ロシア)〕の一貫性をプラセボを対照に評価する。
方法
第II相、多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、2パート試験。
コアパートでは、スクリーニング期で適格と判定された被験者は、二重盲検投与期の1日目にケシンプタ群またはプラセボ群に2:1の比でランダム化され、割り付けられた治験薬を初回(1日目)、1週後、2週後、4週後、以降は4週毎に20週後まで皮下投与した。ただし、本試験で使用した皮下投与製剤は、安全装置付きのプレフィルドシリンジ製剤注)である。
注)ケシンプタ®皮下注20mgペンは、プレフィルドシリンジを組み込んだオートインジェクター製剤である。
評価項目
◎主要評価項目:1スキャンあたりのGd造影T1病変数 〔投与24週後まで(MRI評価時点:12、16、20、24週目)〕
◎副次評価項目:年間の新規または拡大T2病変数、年間再発率、初回再発までの期間
◎探索的評価項目:EDSSに基づく3ヵ月持続する障害増悪(3mCDW)が認められるまでの期間 など
◎安全性評価項目:有害事象、臨床検査、心電図、バイタルサイン、免疫原性
解析計画
有効性の主要な解析対象集団は最大の解析対象集団(FAS)とし、ランダム化されたすべての被験者とした。安全性解析対象集団は、治験薬を1回以上投与されたすべての被験者とした。
◎主要評価項目:1スキャンあたりのGd造影T1病変数 〔投与24週後まで(MRI評価時点:12、16、20、24週目)〕
ケシンプタ群のプラセボ群に対する優越性を、帰無仮説「投与24週後までのGd造影T1病変の累積数が投与群間で差がない」に対する対立仮説「投与群間で差がある」を設定して検討した。投与群、地域(日本または海外)、ベースラインのGd造影T1病変数(0または1以上)を要因、Gd造影T1病変の累積数を反応変数、MRIスキャン回数の自然対数をオフセット変数とした、対数リンクによる負の二項回帰モデルを用いて解析した。
また、主要評価項目に関する地域間(日本または海外)の一貫性を評価するために地域別に評価したサブグループ解析は、事前に計画されていたものである。投与群と地域の交互作用を要因として含めた統計モデルを用いて、投与24週後までのGd造影T1病変の累積数を投与群別および地域別に解析した。Gd造影T1病変数の比で示した治療効果の投与群間差は、地域別に95%信頼区間とともに算出し、いずれの地域でも投与群間差が1未満の場合に「治療効果が地域間で一貫している」と定義した。また、投与群と地域の交互作用のp値を示した。
◎副次評価項目
・年間の新規または拡大T2病変数
投与群、地域(日本または海外)、ベースラインのGd造影T1病変数(0または1以上)を要因、ベースラインのT2病変容積を連続変数の共変量、前回のMRIスキャンの新規または拡大T2病変数を反応変数、ベースラインから当該MRI評価までの期間(年)の自然対数をオフセット変数とした、対数リンクによる負の二項回帰モデルを用いて解析した。
・年間再発率
被験者毎の確定再発の累積数を反応変数、被験者毎の試験期間(年)の自然対数をオフセット変数とした、対数リンクによる負の二項回帰モデルを用いて推定した。本モデルには、投与群、地域(日本または海外)、ベースラインのGd造影T1病変数(0または1以上)を要因、過去1年間の再発回数、ベースラインのEDSSを共変量として含める計画であったが、再発数が少なく数値計算が収束しなかったため、事前に規定した通り、オフセット変数および要因(投与群、地域)のみを含めた簡略化モデルで解析した。
・初回再発までの期間
投与群、地域(日本または海外)、ベースラインのGd造影T1病変数(0または1以上)を要因、ベースラインの過去1年間の再発回数、EDSSを共変量とした、Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。
◎安全性
投与24週後までの中間集計では、プラセボ群に初めてケシンプタを投与した24週後の投与当日に発現した有害事象も含まれていたことから、開鍵後に、24週後(9回目)の投与当日に発現した有害事象を除外した事後解析を行い、本剤の有害事象、副作用の発現被験者数および発現率をプラセボと比較することとした。
また、ケシンプタ投与に関連する安全性の問題やリスクを検討すべく、ケシンプタおよびその類薬で懸念されるリスクに該当する事象(注射に関連する反応、感染症、良性・悪性・詳細不明の新生物)を「注目すべき有害事象」と定義して評価した。
患者背景(FAS)
本試験の対象患者となった再発を伴う多発性硬化症(MS)患者64例の患者背景は下表の通りであり、うち日本人患者は32例と半数(50.0%)を占めていました。また、疾患修飾薬(DMD)前治療歴なしの未治療患者が約3割含まれていました。
例数(%) または 平均値±標準偏差
§:ベースラインのEDSS(治験薬初回投与前の直近のEDSS)を提示した。 ※:n=42
社内資料:国際共同第II相試験(G1301試験)[承認時評価資料]