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症例報告 154 [足背および足底の赤紫色斑、下腿浮腫]

<症例> 78歳、女性
<主訴> 足背および足底の赤紫色斑、下腿浮腫
<既往歴> 2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性腎不全、高尿酸血症
<家族歴> 特記すべき事項なし
(症例提供) 大阪市立大学大学院 医学研究科 皮膚病態学 大村 玲奈
(監修) 大阪市立大学大学院 医学研究科 皮膚病態学 教授 鶴田 大輔

解答と解説

診断名

  • Kaposi肉腫

鑑別診断

  1. 細菌性類上皮性血管腫症
  2. 血管肉腫

検査、原因、治療法

血液検査:血液一般、生化学検査で特記すべき異常値なし。sIL-2R 974U/mlと高値を認めた。HBs抗体、HCV抗体、RPR定性、TPHA定性、HIV抗体、HTLV-Ⅰ抗体はいずれも陰性。
画像検査:CT検査では、骨盤部・腹部のリンパ節転移および内蔵病変を認めなかった。
病理組織検査:H.E.染色で、真皮内に内皮細胞に縁取られたスリット状の脈管腔が増殖していた。免疫染色では、CD31/CD34およびHHV-8が陽性であった。(図2)

写真2

図2. 病理組織所見(左:H.E.染色、右:HHV-8 ×400倍)

病変が広範囲でリンパ浮腫を伴うため、化学療法の適応と考えた。タキサン系微小管阻害薬単独の化学療法を施行。以下にその経過写真を示す(図3)。化学療法2コース終了後より、過角化が改善し疼痛の軽減を認め、4コース終了時には浸潤を触れることが無く色素沈着のみとなり、疼痛は消失した。化学療法終了後現在にいたるまで再発は認めていない。


写真3

図3.化学療法終了4ヶ月後

皮膚科領域

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