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症例報告 162 [主訴: 両踵の血疱]

<症例> 66歳、男性
<主訴> 両踵の血疱
<既往歴> 特記すべきことなし
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 山形大学 医学部 皮膚科学講座 講師 紺野 隆之 先生
(監修) 山形大学 医学部 皮膚科学講座 教授 鈴木 民夫 先生

解答と解説

診断名

  • 持久性隆起性紅斑

鑑別診断

  • 外傷(black heelなど)、血管炎、好中球性皮膚症

検査、原因、治療法

  • 本症の皮疹は四肢の関節背面に好発し、持続する隆起性紅斑を特徴とするが、これらの定型疹の他に、水疱、血痂を伴う血疱などを伴うことがあり、特にこれらの皮疹は踵部などの荷重部に生じるのが特徴である。自験例は、下肢に定型疹があり(図2)、皮膚生検にて表皮直下に密な炎症細胞浸潤があり(図3)、表皮直下に赤血球の血管外漏出、フィブリンの析出、核塵を伴う好中球浸潤を認めたため(図4)本症と診断した。発症メカニズムは不明だが、血管壁への免疫グロブリン、補体の沈着を認める例もあることから、免疫複合体を介した血管炎の一つの形態と考えられている。さらに、関節リウマチ、IgA型のM蛋白血症や多発性骨髄腫のなどとの合併例の報告があり、壊疽性膿皮症などの好中球性皮膚症と同様の発症機序も考えられる。

    治療はDDSが有効で、自験例でもDDS内服を行い症状は改善した。しかし、再燃を繰り返す例もみられ、基礎疾患の検索も重要である。


    図2

    図2

    図3

    図3

    図4

    図4

皮膚科領域

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