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症例報告 170 [主訴: 両下腿の褐色調局面と隆起性結節]

<症例> 40歳、男性
<主訴> 両下腿の褐色調局面と隆起性結節
<既往歴> Basedow病、甲状腺全摘術(2年前)
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 福島県立医科大学 皮膚科学講座 助教 森 龍彦 先生
(監修) 福島県立医科大学 皮膚科学講座 教授 山本 俊幸 先生

解答と解説

診断名

  • 前脛骨粘液水腫 (pretibial myxoedema)

鑑別診断

  • リンパ浮腫、リポイド類壊死症、好酸球性筋膜炎、うっ滞性脂肪織炎などが鑑別に挙がり、病理組織所見が有用である。

検査、原因、治療法

  • 足背の結節部より皮膚生検を施行した。表皮は部分的に下方へ延長し、真皮上層は全体的に浮腫状を呈し、真皮中~下層では線維化が強くみられた。真皮上層の強拡大では膠原線維間に無構造物の沈着があり(図2, 3)、アルシアンブルー染色でムチンの沈着を認めた(図4)。以上の臨床所見と病理組織所見より前脛骨粘液水腫と診断した。


    図2 弱拡大像
    図2 弱拡大像
    図3 強拡大像
    図3 強拡大像
    図4 アルシアンブルー染色
    図4 アルシアンブルー染色

    前脛骨粘液水腫は、真皮にヒアルロン酸から成るムチンが沈着することにより、両下腿に圧痕を残さない硬性浮腫、結節や腫瘤、を呈する疾患である。進行すると表皮の乳頭状肥厚を認める(象皮症)。主にBasedow病に合併し、頻度は約0.5%と報告されている。Basedow病発症から3年以内に発症することが多いが、20年以上経過してから発症することもある。発症機序として、抗TSH抗体や免疫グロブリンなどにより線維芽細胞が活性化されムチンの産生が亢進することが考えられている。

皮膚科領域

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