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症例報告 174 [主訴: 前頭部、側頭部の脱毛]

<症例> 77歳、女性
<主訴> 前頭部、側頭部の脱毛
<既往歴> 特記すべきことなし
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 産業医科大学 皮膚科学教室 教授 中村 元信 先生
(監修) 産業医科大学 皮膚科学教室 教授 中村 元信 先生

解答と解説

診断名

  • Frontal fibrosing alopecia

鑑別診断

  • 円形脱毛症
    男性型脱毛症

検査、原因、治療法

  • 脱毛は前頭から側頭にかけ、帯状に拡大し(図2)、ダーモスコピーでは脱毛部に毛孔が観察されず、脱毛部からの3mmパンチ生検では毛器官が線維化していた(図3)。


    図2
    図2
    図3
    図3

    以上の所見からFrontal fibrosing alopeciaと診断した。

    Frontal fibrosing alopecia は1994年、Kossardにより初めて報告された、前頭部から側頭部の生え際の帯状瘢痕性脱毛を臨床的特徴とする疾患である。閉経期以降の女性に好発するLichen planopilarisの1亜型とする分類が有力で皮膚生検では早期では毛包周囲や毛包内のリンパ球浸潤、液状変性が見られ、本症例のように晩期になると毛包の線維化がみられる。

    初期にはステロイド局所注射が有効であるが、本症例のように完全に線維化すると無効で、本症例も無治療で経過観察しているが、脱毛斑の進行、拡大はない。

    症例の詳細は、Nakamura M, et al. expression of Snail1 in the fibrotic dermis of postmenopausal frontal fibrosing alopecia: possible involvement of an epithelial-mesenchymal transition and a review of the Japanese patients. Br J Dermatol, 162: 1152-1154, 2010 に報告した。

皮膚科領域

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