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症例報告 180 [主訴: 両側下腿に多発する結節、血疱]

<症例> 80歳代、男性
<主訴> 両側下腿に多発する結節、血疱
<既往歴> 特記すべきことなし
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 琉球大学大学院医学研究科 皮膚科学講座 講師 山口 さやか 先生
(監修) 琉球大学大学院医学研究科 皮膚科学講座 教授 高橋 健造 先生

解答と解説

診断名

  • カポジ肉腫

鑑別診断

  • うっ滞性皮膚炎
    血管肉腫
    皮膚リンパ腫

検査、原因、治療法

  • カポジ肉腫の病理学的所見は、真皮全層に核異型のある紡錘形細胞が増生し、不整な脈管腔が多数見られ、その内部に赤血球が漏出する(図2)。免疫組織染色で、CD31,CD34, latency-associated nuclear antigen 1 (LANA1)が陽性である(図3)。

    図2
    図2
    図3
    図3
    カポジ肉腫は、ヒトの血管内皮細胞にHHV-8が感染し、形質転換、細胞増殖を起こすことで発症する。疫学および臨床症状の違いから、東ヨーロッパや地中海沿岸の高齢者男性に多い古典型、赤道部黒人に多いアフリカ型、免疫抑制療法による医原性型、AIDS関連型に大別される。

    自験例は、JAK阻害薬による医原性カポジ肉腫と診断した。

    医原性カポジ肉腫の治療は、可能であれば免疫抑制剤の変更、減量、中止を行う。免疫抑制剤を減量しても進行する症例や臓器障害が致死的になりうる場合は、全身化学療法を考慮するが、化学療法による免疫状態悪化もカポジ肉腫の増悪因子になるため、治療時にはそのバランスを取るのが非常に難しい。

 

 

皮膚科領域

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