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症例報告 190 [主訴: 仙骨部の疼痛をともなう潰瘍化した腫瘤と全身に多発する皮下結節]

<症例> 72歳 女性
<主訴> 仙骨部の疼痛をともなう潰瘍化した腫瘤と全身に多発する皮下結節
<既往歴> 特記すべきことなし
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 静岡県立総合病院 皮膚科 部長 八木 宏明 先生
(監修) 静岡県立総合病院 皮膚科 部長 八木 宏明 先生

解答と解説

診断名

  • 特発性皮膚石灰沈着症

鑑別診断

  • 強皮症にみられる皮下石灰沈着や、カルシウム代謝異常症、石灰化を伴った皮膚・皮下悪性腫瘍あるいは石灰化した内臓悪性腫瘍の皮膚転移などの鑑別を要する。

検査、原因、治療法

  • 画像検査により皮下に限局した石灰沈着であることを確認する。単純レントゲンでも石灰化の確認は可能であるが、CT(図2)では病変の局在がより把握しやすい。

    図2
    図2
    皮膚生検を行い腫瘍の石灰化を除外する。皮膚生検組織(図3)では真皮~皮下脂肪織中に紫色に染まる無構造物質の集塊を証明する。石灰化の辺縁には巨細胞浸潤を伴う異物反応がみられることがある(図4)。切除標本では白色~乳白色のチョーク状構造物が肉眼で確認できる(図5)。

    図3
    図3
    図4
    図4
    図5
    図5
    強皮症については、手指など他の身体所見の有無と自己抗体を検査して鑑別する。また、血液検査にて血清カルシウム、リン値、1,25-ジヒドロキシビタミンD3値、PTH値、クレアチニン値などカルシウム代謝に関与する因子や副甲状腺機能、腎機能障害などについて調べる。

    潰瘍化や疼痛をともなう部位については、外科的切除の対象となる。

 

 

皮膚科領域

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