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症例報告 191 [主訴: 全身に多発する瘙痒をともなわない小結節]

<症例> 10才 男児
<主訴> 全身に多発する瘙痒をともなわない小結節
<既往歴> 7才までアトピー性皮膚炎にて外用治療
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 静岡県立総合病院 皮膚科 部長 八木 宏明 先生
(監修) 静岡県立総合病院 皮膚科 部長 八木 宏明 先生

解答と解説

診断名

  • リンパ腫様丘疹症 A型

鑑別診断

  • 夏季であれば虫刺症を、またアトピー性皮膚炎の既往があることから痒疹が考えられるが、臨床的に瘙痒がないことで容易に鑑別できる。急性痘瘡状苔癬状粃糠疹や慢性苔癬状粃糠疹、滴状乾癬などの鑑別を要する。

検査、原因、治療法

  • 皮膚生検では表皮突起の延長と、真皮に蜜な細胞浸潤が見られる(図2)。浸潤細胞は多彩で、多くはリンパ球であるが好酸球や好中球、組織球を混じる。特徴的な所見は大型で辺縁不整な核をもち、核小体の明瞭な異型リンパ球の浸潤である(図3)。免疫組織化学染色で、大型細胞がCD3、CD30に陽性であれば診断が確定する(図4)。血液検査では、T細胞リンパ腫に準じて末梢血白血球分画、可溶性IL-2受容体、LDH、抗HTLV-1抗体などを調べる。末梢血中に異型リンパ球が出現することはなく、可溶性IL-2受容体、LDHも正常か軽微な上昇にとどまることが多い。皮膚組織でT細胞の単クローンが証明されることもあるが、基本的に良性の経過をとる。ただしリンパ腫への移行例もあり注意深い観察が必要である。小児ではアトピー性皮膚炎患者への発症例が多い。自然治癒が期待できるため、まずは経過観察を行う。本症例も全経過1年で自然治癒した(図5)。

    図2
    図2
    図3
    図3
    図4
    図4
    図5
    図5

 

 

皮膚科領域

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