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症例報告 192 [主訴: 顔面、頸部、上背部、両上腕に多発する皮疹]

<症例> 19才 女性
<主訴> 顔面、頸部、上背部、両上腕に多発する皮疹
<既往歴> 特記すべきことなし
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 静岡県立総合病院 皮膚科 部長 八木 宏明 先生
(監修) 静岡県立総合病院 皮膚科 部長 八木 宏明 先生

解答と解説

診断名

  • (正脂血症性)びまん性扁平黄色腫

鑑別診断

  • 若年者であることを考慮すると最も鑑別すべきは若年性扁平疣贅とその炎症期であり、その他に毛孔苔癬、尋常性痤瘡の瘢痕や眼瞼の皮疹については稗粒腫なども鑑別に挙げられるが皮疹の分布や色調などが異なる。

検査、原因、治療法

  • 黄色腫は組織球が脂質を取り込み泡沫細胞となり皮膚や腱に浸潤する疾患である。皮疹を伴う症例では皮膚生検で真皮に泡沫細胞の集族を証明することにより診断される(図2,3)。高脂血症に伴うものと、脂質異常のない正脂血症性があり、血液検査にて脂質異常症の有無を検索する。臨床症状により発疹性、結節性、腱、扁平、その他に分類され、それぞれに合併しやすい脂質異常病型が存在する。提示例のように広範囲に出現するものは、びまん性扁平黄色腫と言われ高脂血症の合併は少ないが中年期以降に多く発症し、多発性骨髄腫などの造血器疾患の合併例が多く報告されているため注意が必要である。提示例では脂質異常はなく合併症もなかった。若年女性の顔面であることを考慮した治療を行い、3か月で皮疹の改善がみられた(図4,5)

    図2
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    図3
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    図4
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    図5
    図5

 

 

皮膚科領域

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