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教えて、先生!

Q.血圧が高いままだと、特にどのようなことが問題になるのでしょうか

高血圧は、血管にかかる圧が高まっている状態です。血管は柔軟性に富んでおり、短期間では問題は生じません。しかし、長年にわたり血管が高い圧にさらされることで、柔軟性が損なわれ、動脈硬化を起こしたり、心臓、腎臓などの重要な臓器の機能を徐々に低下させます。脳卒中や心筋梗塞などの生命に関わる、あるいは先ほどお話しした健康寿命を損ねる疾患を起こすリスクが高まります。このような悪影響は、一般には高血圧である期間が長いほど起こりやすくなります5)
もともと人間の体は、85年や90年という寿命を想定していなかったと思われます。個体の寿命と個々の臓器の寿命は、必ずしも一致しません。加齢に伴って臓器の老化(機能の低下)が起こりますが、それが進めば脳では認知症、心臓では心不全、腎臓では慢性腎臓病(CKD)といった病気を起こします。それらの病気は1つだけが起こるのではなく、いくつも重なって起こることが多いのです。
特に合併しやすいのはCKDと心不全です。腎臓が悪いと心不全を起こしやすくなり、心不全があると腎臓の状態をさらに悪化させます。これを「心腎連関」といいます6)。高血圧はこのような心腎連関の発症や進展を加速させる可能性があります。

腎臓は、血圧調節において重要な臓器の1つです。血圧を上昇させる食塩を体外に排泄させる働きをもち、血圧調節に重要なホルモンの産生にも関わっています。そのため、腎臓が悪くなると血圧調節が乱れ、血圧が上昇しやすくなります。CKDは「eGFR(推定糸球体濾過率)が60mL/分/1.73m2未満(腎機能の低下)」あるいは「一定量(0.15g/gCr以上)の蛋白尿が出ている」のいずれかまたは両方が、3ヵ月以上続いた場合とされています7)。歳をとるだけでもeGFRが低下してCKDになりやすく、心不全にもなりやすいのです。高血圧の治療を行う際には、このことを念頭に置いておかなくてはなりません。

5)Petrea RE, et al. Mid to late life hypertension trends and cerebral small vessel disease in the Framingham heart study. Hypertension. 2020; 76(3): 707-714
6)日本腎臓学会編. CKD診療ガイド2012. p.12
7)日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018. p.2

教えてくださったのは

川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学教授

柏原 直樹 先生

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