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アフィニトール

結節性硬化症(TSC)

監修:大野耕策 先生(鳥取大学名誉教授)

その他の病変(骨病変、腎以外の過誤腫、消化器病変等)

結節性硬化症に伴うその他の病変

「結節性硬化症の診断基準及び治療ガイドライン」1)2)に記載のある結節性硬化症に伴う過誤腫病変について、骨病変(骨シスト)、肝AML、消化器病病変、子宮平滑筋腫、卵巣嚢胞を中心に紹介します。

骨病変(骨シスト)

結節性硬化症患者ではしばしばの45~66%に骨病変として骨の硬化が認められます1)。頭蓋骨、脊椎、骨盤で観察される骨硬化像においては、osteoma(骨腫)やosteoblastoma(骨芽細胞腫)の転移との鑑別が重要になります。手や足の骨(特に中手骨や中足骨)において、周囲に骨の新生を伴った嚢腫様の病変として認められる骨嚢胞(骨シスト)には漿液が含まれており、結合組織の薄い層が並んでいます。嚢胞はほとんどが不規則な形状で、長年にわたり大きさと数が増加します。骨硬化および骨膜骨新生を伴う骨嚢胞は、通常症状はなく、経過観察のみで治療を要しない場合が多い病変です。

写真 骨シスト 画像1
 

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肝AML(図1)3)

図1 年齢期ごとの肝の過誤腫の発現率(海外データ)

肝臓にできる過誤腫病変には、肝血管筋脂肪腫(肝AML)、血管腫、肝腺腫があります。超音波を用いた2つの異なる研究で、結節性硬化症患者の16~24%に肝AMLが認められたという報告があります2)。確定診断のための針生検等は出血を引きおこす危険性があるため、安易に施行すべきではないことが、「結節性硬化症の診断基準及び治療ガイドライン」1)2)でも注意喚起されています。また外科的処置が必要となることは少ないとされています。 結節性硬化症では腎AMLの後に肝AMLが認められることが多く、肝AMLは自覚症状がなく、腎AMLよりも進行が緩やかです。

写真 肝血管筋脂肪腫(肝AML) 画像
 

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消化器病変(大腸の内腔狭窄、過誤腫性直腸ポリープ)

結節性硬化症の消化器病変として、大腸の内腔狭窄(大腸の壁の一部が肥厚して内腔の狭窄をおこすこと)や過誤腫性直腸ポリープが認められます。いずれも重篤な場合には、外科的治療の適応となります。

写真 過誤腫性直腸ポリープ 内視鏡画像
 

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子宮平滑筋腫、卵巣嚢胞

ヒト子宮平滑筋においてツベリンの発現が増加しているという報告があります4)。また、結節性硬化症患者におけるLAMとPEComa(卵巣PEComaを含む)の関連が報告されています5)。2013年に報告された疫学調査6)によると、20歳以上の日本人結節性硬化症女性患者51人における子宮病変の合併は29人(57%)でした。そのうち、子宮平滑筋腫の発現頻度は24人(47%)で、一般集団における頻度にくらべ有意差はないものの高頻度でした(p=0.1493、χ2検定)。年齢期別にみると、子宮平滑筋腫の発現頻度は40歳以降に増加していました。また、20歳以上の日本人結節性硬化症女性患者39人における卵巣嚢胞の発現頻度は28%でした。子宮平滑筋腫と異なり卵巣嚢胞は年齢に関係なく発現していました(図2)。

図2 年齢期別の子宮平滑筋種ならびに卵巣嚢胞の発現率

参考文献
1) 金田眞理, 他. 日皮会誌 2008; 118: 1667-1676
2) ⾦⽥眞理, 他. ⽇⽪会誌 2018; 128: 1-16
3) Curatolo P, et al. Lancet 2008; 372: 657-668
4) Cui L, et al. Fertil Steril 2011; 95: 1805-1808
5) Lim GS and Oliva E. Int J Gynecol Pathol 2011; 30: 121-128
6) Wataya-Kaneda M, et al. PLoS ONE 2013; 8: e63910